街道

見付宿　池田まで

　　　年　月　日　撮影

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薄緑色の建物辺りが起点。	橋の下の川は太田川へと向かう。	右側の細い道が姫街道。	坂の途中から、振り返る。	登り終わった地点で振り返る。	東方を見る。 兜塚古墳が左。
更に進む。	昔の面影の残る新造形創造館横を通る。	坂の下から振り返る。	この坂を下る。	振り返ってみる。	道端の秋葉常夜灯。

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見付

古くより遠江の国衙の地として発達し、また東海道の宿場町として、 本陣・脇本陣を始め問屋場や多くの旅寵等を備えていた。 岩井村境から中泉村境までの宿の往還の長さは、二五町四一間半に及び、 宿内の町並は、東西に一一町四〇間続いていた。天保十四年（１８４３）宿内の惣家数はＩ、〇二 九軒あり、三、九三五人が住んでいた。

見付宿から西方一里二〇町天竜川の東岸池田は、池円の庄、天竜川の渡船 場として発達してきたが、往還の長さは八町二間あり、家並は五町五九間で あった。

一八世紀、延享・天明頃の渡方（渡船方）に従事するものの家数二 Ｉ六軒、また地方（宿方）といわれるものは四四軒を数えた。

『東海道宿村 大概帳』（以下『大概帳』と略す）によると「池田の道巾二～三間」とあるが、 これは最近まで殆ど変わりなかったが、現在は拡張工事が進められている。 見付宿・池田村ともに幕領に属し、中泉代官所の支配地であった。

　　形態の特色 見付宿の西のはずれ近く池田に通じる近道があった。寛政3年（1791）には道中奉行の通行禁止の高札「此道筋往還之旅人ハ申すに及ばず　宿人足に至る迄　一切通るべからざる者也」となっており、時代は降るが、天保期の幕府作成「大概帳」でも通行は禁止になっている、通行禁止の立札も立てられていたという。
しかし、「東海道中膝栗毛」では弥次郎兵衛は此の近道を歩き、喜多八は東海道を馬に乗り池田で落ち合っている。この時「弥次郎此処にて待ちうけてともにこの渉しをうちこゆる・・・」と落ち合った時の事が記されており、馬に乗った喜多さんより歩いた弥次さんの方が早く到着したようだ。但し、この近道は道幅が狭く、歩行（かち）のみで馬や荷物は東海道を行くしかなかった。

この道は本坂通（姫 街道）の東端の地点ともいわれているように、池田から天竜川を渡って市野 へ道をとれば、本坂通と連続している。しかし正確には池田の渡船場で東海 道と再び一致する。一般には見付近道・池田の近道と呼ばれて利用されてい たが、『大概帳』では旅人の通行は禁止されていた。この道は地元では一般 には近年まで姫街道とは呼ばれていなかったようである。この間約四キロで、 東海道より約三キロの近道となっている。東海道が中泉を迂回した理由とし ては、元和六年（二（二〇）から明暦頃（一六五六～七）にかけて、中ノ町屋 村と池田下流の長森間に渡船場かおり、これが中泉からちょうど真西の方向 に相当していたことによる。しかし『嶽南史』によれば川瀬の変遷により渡 船場が移動したためであるという。

また、幕府の中泉代官所の所在地を通過 させた政策とも考えられる。

また渡船の権利を得た池田の地元に渡船場が移 されていったのも自然と考えられる。 この近道は、見付宿西坂で東西の東海道が、南へ折れて、中泉を通過する のに対して、真直ぐに西に入って、坂をのぼり、磐田警察署前で国道一号線 に接触する。そこで、また分かれて一号線の北側に沿って二言の坂を下り、 田園地帯に出て知恩斉から上新屋を経て池田に至る。この間二言の坂の下か ら池田までは、耕地整理で当時の道はごく一部を除いて殆ど消滅している。 道は本来「作道」（農道）で幅三尺（約９１ｃｍ）と記録されていた。

産業の特色 　見付宿の自慢の名物として旅人に親しまれてきたものに、五文どり（定価 五文の大きなあんもち）・すっぽん・そば・うどんに古源の足袋があげられる。 足袋は遠州木綿の産地として発達したものである。今の浦川を通じて遠州灘 の福田湊まで約二里、それより江戸まで海上およそ七〇里程の水路も開かれ ていて米等の積み出しが行われていた。 　池田は徳川家康から特許を得た十人衆によって天竜川の渡船が運営されて

磐田市新造形創造館近くの集落をしばらく歩く。				池田の町。	行興寺。

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右手に綺麗なお寺が見えてきた、「妙法寺」である、山門前には「禁葷酒」の大きな石文があり、当初意味が分らず禁酒寺かと思ったが、これは匂いの強い野菜や酒の持込を禁ずるとの事らしい（不許葷酒入山門=くんしゅさんもんにいるをゆるさず）。
更に直進し突き当った所が「平家物語」や、謡曲「熊野」で知られた「行興寺」（22）前に出る。

「熊野（ゆや）御前」、資料によると
平安末期、池田の長者の娘で熊野という美しい娘がいた。この地に遠江守として任官していた平宗盛に見初められた熊野は、やがて都へ上り宗盛と幸せな日々を送っていたがある日、熊野のもとに母の病の報せが届いた。しかし池田へ帰りたいという熊野の願いを、宗盛は聞き入れなかった。　春、桜見物の席で、熊野は、「いかにせん、都の春も惜しけれど、なれしあずまの花やちるらん」（都も離れがたいが、故郷にいる母の病状が心配です）と詠み、その心に打たれた宗盛はついに別れを決心した。

母娘は、再会を果たす事が出来たものの、母の命は長くなかった。まもなく宗盛の死と平家滅亡を聞いた熊野は、尼となり静かに生涯を終えという。熊野が住んだという庵跡の「行興寺」には今も母のために熊野が植えたと言われる藤の花が、毎年長い花房をつけている。
「行興寺」には熊野とその母の墓があり、本堂手前右側には樹齢300年の藤と供に、墓裏の樹齢800年と言われる藤は「熊野の長藤」として最長1.7ｍもの花を咲かせ、国の天然記念物となっており多くの人々が訪れる名所として知られている。（頁頭の写真は昨年撮影分）

当時の美人番付の1位は手越の千手、2位が池田の熊野、3位が黄瀬川の亀鶴と言われ、東海道を歩いた時、千手は安倍川西「手越」で、亀鶴は黄瀬川西の「潮音寺」と、それぞれ縁の地でその名を目にした。

この寺には、謡曲や平家物語に登場する熊野御前の墓がある。		藤が多数あり、きれいに咲いた。		熊野の長藤。推定850年前の藤。

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「池田渡し跡」に出る。江戸時代、家康から特許を得た池田の十人衆によって天竜川渡船は運営されていた。これは武田軍に追われた家康軍を渡船させ、無事浜松城迄帰還させて以来の特権であった。
かつては池田宿と栄えたが江戸期にも渡船場として茶店等も多く「どじょう汁」が名物であったとされている。天竜川は大天竜川と小天竜川の二筋に分かれ大天竜は池田村持ち、小天竜は浜松側の船越村と隔日に分担されていた。

薄緑色の建物辺りが起点。	橋の下の川は太田川へと向かう。	右側の細い道が姫街道。	坂の途中から、振り返る。	登り終わった地点で振り返る。	東方を見る。 兜塚古墳が左。
道端の秋葉常夜灯。	振り返ってみる。	この坂を下る。	坂の下から振り返る。	昔の面影の残る新造形創造館横を通る。	更に進む。

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　「池田近道」は天竜川以東は現存部分もあり何とか歩く事も可能であるが、天竜川以西「市野宿」迄は道が残っていない為不可能に近い。従って池田渡船場跡で旧東海道と合流した後、渡船の無い現代では池田以西は迂回して天竜川橋を渡り、中野町では旧東海道を歩き、安間を起点とするルートと合流する事になる。詳しい距離は分からないが総距離は約61～2ｋｍ位になるのではないかと思う。

　天気予報は曇り後雨。今のところは雲は多いが、青空も若干見える、半日でも降られずに歩けるならばそれで良しと、出発した。東海道を歩いた時もそうであったが、初めての道を歩く時の、出発前の「わくわく」する期待感はいつものとおりで格別なものだ

当時の旅人が東海道を見付から浜松に向う時、中泉代官所（現磐田駅南側）方面に南下し、其処から西に折れ天竜川手前で右折し、川沿いに北上して池田の渡船場に至る四角形の三辺を歩く感じの遠回りな道であった為、此処から真西に進み、一辺だけで進む一言坂（ひとこと）を通り、池田渡船場迄斜めに直線で行ける此の「池田近道」を通行する旅人は少なくなかった。

寛政3年（1791）には道中奉行の通行禁止の高札「此道筋往還之旅人ハ申すに及ばず　宿人足に至る迄　一切通るべからざる者也」となっており、時代は降るが、天保期の幕府作成「大概帳」でも通行は禁止になっている、通行禁止の立札も立てられていたという。
しかし、「東海道中膝栗毛」では弥次郎兵衛は此の近道を歩き、喜多八は東海道を馬に乗り池田で落ち合っている。この時「弥次郎此処にて待ちうけてともにこの渉しをうちこゆる・・・」と落ち合った時の事が記されており、馬に乗った喜多さんより歩いた弥次さんの方が早く到着したようだ。但し、この近道は道幅が狭く、歩行（かち）のみで馬や荷物は東海道を行くしかなかった。

交差点からは西に向う。直ぐ左手には歴史を感じる土蔵が建っている。「加茂川」に架かる橋を渡ると道はY字路に分岐し、分岐点には秋葉常夜灯（3）が有り、台石には「川原町」、裏には「元治二年歳乙丑春壬正月」と彫られているらしい、元治二年（1865）までは判読出来たが後は読めなかった。このような場合水を掛ければ見えるようになると、何かで読んだ記憶があるが、自分には見えても読めない場合が多い。

 

、此の附近一帯を「一言坂」という。

「・・・程なく飛と事坂（一言坂）へ差掛る　此所ハ池田より東に阿多り見附への近道なり　此道ハ殊の外さびし具（く）物春（ものす）ごき處な連バ　飛と事坂とハ名附けたり・・・」とある様にかなり淋しい所だったらしい。
また、日本左衛門が此の坂で、ぐ王（わ）ゑん平助なる者を斬殺し「ぐ王ゑん塚」として石があったという言伝えがあるが、塚の有無、事の真偽の程も不明である。また、この坂は通称「ごろんぼ坂」とも呼ばれている。

合流地右手には琴平神社の石段があり上ってみたところ、鳥居のみで周囲は竹が生茂る空き地となっており、僅かに石像が一体あるだけであった。神社は旧郷社に移転合祀されたらしい。琴平神社階段の脇には「池田近道案内板」（7）が有る。説明文によると

「この坂を「一言坂」といいます。元亀3年（1572）甲斐国から攻め込んできた武田信玄と遠江国の領主であった徳川家康との間に戦が起りました。
袋井市三箇野川の戦に敗れた徳川軍は、浜松城を目指して敗走しましたが、一言坂で追いつかれ、再び合戦となりました。
これが「一言坂の戦い」です。この時に敗走する徳川軍を救ったのが家康重臣の本多平八郎忠勝でした。平八郎は「とんぼ切り」といわれた大槍をふるいながら一人奮戦し、枯れ草に火をかけ、その煙の中、見事に味方の軍を退却させたと伝えられています。
敵の武田軍も、この時の武勇をたたえ「家康に過ぎたるものがふたつある。唐の頭（兜）に本多平八」と書いた札を磐田市国府台に立てたといわれています」　と、本多平八郎一言坂奮戦図の絵（頁頭）と共に記されていた。

街道から外れるが合流した道を左折し、直ぐ近くを通る国道1号線角には「一言坂の戦跡碑」（8）がある。
なお、「一言坂」について案内板の地図では秋葉堂（6）附近から「一言坂」となっているが、戦国時代には国道南にある「水汲坂」が「旧一言坂」との説もあるという。一言地区は広く、磐田原台地からの坂道を総称して一言坂と称したとの説もある。

案内板から少し先、右手に「池田近道」（9）と書かれた案内標識があった。進行方向とは逆方向へ戻るように鋭角に入る細い道がある。案内板に書かれた地図や手元の地図も全て直進となっているが、如何にも旧街道らしい雰囲気であり入ってみる事にした。（後日、地元ボランティアの人達と此処を歩く機会があり、鋭角に曲がる道について尋ねたところ、道路工事により付近の道は変更された。かつては今は存在しない小川に沿って緩く右に曲がっていたと説明を受け納得した）この道は入口から見れば薄暗く、一瞬戸惑ったが、石段の有った琴平神社西側の下を沿うように回っているような感じである（10）。僅かの距離で明るくなり小川を渡り、野球場南側の道を進めば先程の「池田近道案内板」前から続く舗装道路に合流する。