嵩山 本坂峠 まで
豊川 を豊橋市側へ渡ったところの段丘上や山麓には、六世紀以後の後期古墳を主体とする、たくさんの占墳群が形成さ
先史時代から古代にかけての遺跡
先史時代から古代（奈良特代ごろまで）にかけての遺跡が多い事から、本坂通（姫街道）は古代は幹線道路であった可能性がある。
嵩山蛇穴
本坂峠の近くに国指定史跡の嵩山蛇穴と呼ばれる石灰岩の洞穴遺跡がある。奥行きは数十メートルはくだらないと思われるが、この入口附近が、昭和十六年ごろ小栗鉄次郎氏らによって発掘され、縄文早期の押型文土器や石鏃、石斧、骨器な
どが発見されている。これは紀元前五千年ごろの縄文時代人の足跡であり、彼らが海の幸を求めて豊川河畔の漁場へ通っ
た道路は、おそらくこの本坂道であったにちがいない。
樫王貝塚（小坂井町欠山）、菟足貝塚（同町菟足神社）、大蚊里貝塚（豊橋市大村町）、 五貫森遺跡（同）
縄文中期から後期にかけての遺跡は、影がうすい。しかし紀元前数百年ごろの縄文晩期の遺跡は、小規模ではあるが、
小坂井町の集落のある段丘面や豊川の氾濫原に形成された自然堤防上に点々と出現してくるようになる。東海道に位置的に近い代表的な遺跡としては、例えば樫王貝塚（小坂井町欠山）、菟足貝塚（小坂井町菟足神社）、大蚊里貝塚（豊橋市大村町）、
五貫森遺跡（同）などがあげられる。
麻生田遺跡
東名高速道路豊川インターチェンジのすぐ南にある麻生田遺跡は、標高１２ｍの段丘上に立地している。ここは
八〇基以上の土器棺を埋葬した墓地で、その規模の大きさは、他に類をみないし、また１０００点をはるかに超える石斧
が出土している点も見逃がせない。
高井古墳群、森岡古墳群、馬越北山古墳群
豊橋市石巻本町にある高井古墳群、森岡古墳群、馬越北山古墳群などは、
その代表的なものである。
高井古墳群だけでも３０基以上、合わせると６０基以上の円墳が、
この三ケ所に密集している。
長楽や市場の集落を経て嵩山町
本坂通は、この石巻本町から長楽や市場の集落を経て嵩山町に至るが、
この谷あいの北側山腹にも約７０基以上の後期古墳が群集し、
活気にみちた村落が形成されていたことがわかる。
多米町にある古墳群
これと同じ種類の古墳群は、多米町にある古墳群をその代表例として
石巻山の山麓に点々と認められ、本坂峠を通る道を峠越えの道とするならば、
豊川左岸の石巻本町あたりから石巻山の山麓をぬって二川に至る山辺の道
なども利用されていたことは、十分考えられるところである。
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| 和田辻交差点。右手が嵩山宿。 | 右側に長楽一里塚跡がある。 | 長楽一里塚跡 | 1820年建立の常夜燈。その前に「右豊川 左豊橋」の道標。 | 嵩山宿へ | |
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| 先方で、362号から、右手にそれる。 | 本坂道はここで、少し、362号からそれる。 | ||||
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「本坂通」には、嵩山から吉田宿へ向うルートがあり、此処が御油宿と吉田宿への分岐点である。なお、嵩山から吉田迄は2里18丁＝（9.8ｋｍ）の距離である。
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| 左手に曲がり、右手に向かって、362号に合流する。 | 左のそれ、再び、362号から本坂道に入る。 | この先から、嵩山の旅籠街。 | |||
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| 本陣の塀 | 本陣跡 | 旅籠跡 | |||
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（嵩山宿）＝（すせ） 人口580人、家数130軒、本陣1軒、脇本陣0軒、旅籠0軒（天保年間）
戦国期、今川氏の侵攻まで此の地を支配したのは西郷氏で、縄文時代の洞窟遺跡「嵩山の蛇穴」や輪違い紋章の萬福寺、勅使門のある正宗寺等が知られている。
嵩山宿内には残念ながら昔の遺構等は少ない。宿場としての規模も小さく本陣のみであった。
その本陣も「・・・右本陣の儀ﾊ名而己ﾆ而 名主宅ﾆ之有 大通行之節ﾊ休泊共難相成場所ﾆ有之」であった。しかし、通行者が増加した幕末時には、本陣・脇本陣各1軒、旅篭11軒が存在する宿場として発展し賑わったという。脇本陣跡には石垣も残っており往時を偲ばせてくれる。
「夏目本陣跡」（40）の案内板等を見て宿内を進み、右手には文政10年（1827）建立の「秋葉常夜灯」（41）。
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本坂峠
標高３２６ｍの本坂峠。ここが三遠国境である。 「大概帳」には，「本坂村は宇七曲り本坂峠の難所有之」と記され， 「今切御関所由来」には「本坂越えは道狭くけわしくて箱根・笛吹峠より 難く，恰も蜀難の地の如し，一度往く者は二度越えんことを思わず」とあり， 姫街道唯一の難所であった。 平安時代には橘逸勢が流人として通り，戦国時代には武田信玄が大軍を率い， 江戸時代には将軍吉宗の母浄円院が通り，将軍に献上する象が通り，幕末には 天璋院篤姫が通った。そして多くの人々が難儀をしながらこの峠を越えた。 峠には大通行の際のみ臨時的に茶屋が設置された。峠のすぐ東側の街道北 側に平場があり，その付近と思われる。 「大概帳」に「本坂峠に茶屋有之、是は姫・宮方并重き通行之節は領主は小休所繕候由」 と記される。しかし、幕末から明治にかけては常設の茶屋があったと思われる。
本坂隧道
大正３年から本坂峠開削工事が２か年計画で着工，翌年７月に本坂隧道が竣工した。 長さ２ １ ４ｍ，高さ４．５ｍ，幅５ｍの煉瓦造りのトンネルである。 背面には亜鉛板を張って漏水を防ぎ，路面には混凝土を施し,側溝が設けられている。 昭和５３年に新本坂トンネルが開通し，主要道は国道３６２号バイパスに移った。